スーツかギークか言っている場合ではない

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園野淳一 = hachimitu 2008年8月 2日16:23
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最近、交流会とか勉強会を通じて、他社のエンジニアさんとも話す機会が増えてきました。

自分の今の会社だけでなく、他社のエンジニアをとも接してみての感想は、
やっぱりみんな良い意味でも、悪い意味でも「職人」なんだなぁ、ということ。

アメリカ、特にシリコンバレー界隈の話を聞くだに、あちらのエンジニアには、あまりそういういわゆる「職人」という臭いがしないように思います。(あくまで個人的印象、アメリカでも、シアトルあたりは違うかもしれません。)

これは、日本伝統の「ものづくり文化の歴史」がそうさせるのか、なんなのかはよくわかりませんが。

「僕作る人、あなたお金稼ぐ人」というばっくりした職能の分け方が、いわゆる「スーツ・ギーク論争」の出発点と仮定するなら、シリコンバレーでのエンジニアは「僕作るし、お金も稼ぐよ」という感じ。


非常にわかりやすい例をあげるとするなら、はてなの京都移転の話でしょうか。
株式会社はてな、本社を京都に移転、ものづくりの拠点を結集

ものづくりに集中するためには創業の地である京都が最適であると考えました。(中略)また、東京オフィスを営業拠点として残し、これまで通り営業活動を続けていきます。


「ものづくりに集中するために」開発拠点を京都に、営業拠点を東京にというのは、これは完全に「エンジニアの職人化」と、スーツ・ギークのばっくり分割、「僕作る人、あなたお金稼ぐ人」を地でいってるような気がします。

この方法論で、京都が「日本のシリコンバレー」となるのでしょうか。(「日本のシアトル」にはなりそうな気がしますが。)

「僕作るし、お金も稼ぐよ」という風土。そこから生まれるモチベーションというのは、日本の「職人文化」とはレベルの数段違うもののような気がします。


ギークとスーツの落としどころ

どこでもそうだと思うんでしょうが、この二者の仲が良くない。
「カネカネ言いやがって」「誰のおかげでメシ食ってんだ」とまあ、こんな感じでしょう。
この原因と解決をどうするか。個人的には、「日本にGoogleが生まれない理由」みたいな
とこにもつながっていく、重要な論点かと思います。


そう、そこであるような気が僕もするんです。
「スーツかギーク」なんていっている状況で、「Google」が日本に生まれるんでしょうか。


大事なのは、ここで言ってるのは「Google」であって、「Linux」ではないのです。エンジニアだけで「Linux」は生まれると思います。でも、「Google」は生まれません。
いや、生まれるかもしれませんが、「Google」にはなれないと思うのです。

エンジニアの方に聞きたい質問が一つあります。


「今、自分が書いているプログラムが市場価値を産まなかったら、会社がつぶれるという経験をされたことはありますか?」


僕の前職のあるベンチャーの話。その会社は、VCから資金を調達し、少なくない額の資本金を有していました。スタートアップの企業で、月の売り上げがほぼ無い状態です。(あるにはあるが、社員を養えるだけのものではありません)その状況で、エンジニアを6人と、非エンジニアが僕1人。計7人を養う必要があります。

僕が入社した時点で、資金は5千万円程度になっており、

  • サーバ代
  • 家賃
  • 人件費

を考えると、走れるのはあと約半年。それがゲームセットのリミットでした。

スタートアップベンチャーには、よくある話です。その半年で、市場価値のあるサービスを生み出し、それを元に半年後、追加の投資を受ける必要があります。そうでなければ、ゲームセットです。


はてなや、ウノウとか今自社サービスで食って行ける状況の会社でも、黎明期には受託開発でしのいでいたと思いますが、その会社にはその選択肢はありませんでした。(つまんないので、やりたくないからです)


というわけで、そっからの半年は、「スーツだギークだ」なんて言ってる場合じゃありません。エンジニアだろうがビジネスモデル考えるし、僕(プロデューサー兼ディレクター兼デザイナー兼広告営業)だろうが、コード書くし。


だから、その半年のドライブ感、一体感というのは、非常に得難いものでした。みんなが一緒になって、半年後のゲームセットに抗うべく、疾走する感じ。悲壮感はあんまなくて、本当に仕事が楽しかった。(と、僕だけじゃなくて、エンジニア達も今も言います)


結果として、僕らは負けました。半年後にゲームセットを迎えたわけです。
今はみんな違う会社に散って、それぞれ頑張っています。


そもそも、経営者の戦略の大間違いというのはあります。利益のないなかで、そんな人数雇うべきじゃあありません。アメリカの投資家と違って、日本の投資家は可能性だけに投資なんかしてくれません。


でも、そういう一体感、疾走感のなかでしか、Googleのような存在は産まれないような気もするのです。


今、もんもんとして、「スーツだ、ギークだ」と言っているエンジニアの人。
もう一度質問します。「今、自分が書いているプログラムが市場価値を産まなかったら、会社がつぶれるという経験をされたことはありますか?」


ぜひ、自分で起業するなり、少人数のスタートアップベンチャーに入るなりしてみてください。ほんとに「スーツかギークか言っている場合」ではなくなりますから。(でも、楽しいですよ。)


「職人」になりたいなら別ですが。


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