ニコニコ動画の各社決算記事は鵜呑みしない方が良い

hachimitu (2009年2月 9日 19:38) 0 1 このエントリーを含むはてなブックマーク

2009年2月5日に、ドワンゴの2009年9月期第1四半期決算発表がありました。
各種ネットニュース媒体が内容を報じています。

  • ニコ動、広告の四半期売上が2億5000万円 INTERNET Watch
  • 「ニコ動」含むポータル事業は4億7500万円の赤字 ドワンゴ1Q ITmedia
  • ニコニコ動画、有料会員と広告売上が急増--2009年9月期第1四半期決算 CNET

ただ、はてブコメントで指摘している人もいるように、各ニュース記事の解釈の仕方によって、各記事のブクマコメントの論調がかなり流されているように思えます。

特に、ITmedia記事とCNET記事の違いが顕著です。

CNET:ニコニコ動画、有料会員と広告売上が急増--2009年9月期第1四半期決算
ITmedia:「ニコ動」含むポータル事業は4億7500万円の赤字 ドワンゴ1Q

2/6の朝7時と先行発表のITmediaのタイトルが「4億7500万円の赤字」と、赤字拡大にフォーカスしているのに対して、同日昼12時と5時間遅れたCNETが「有料会員と広告売上が急増」と売り上げの上昇にフォーカスしている点で、読者の印象が変わっているようです。

5時間遅れたCNETがITmediaとの差別化で切り口を変えてきた戦略も読めなくはなく、またニュース記事は「決算発表に対する記者の記事」という2次ソースでしかないので、ニコニコ動画に限らず、この手の決算発表関連の記事には注意が必要です。(あとネットニュース媒体の記者さんは、技術には割と強いがビジネスや数字にあまり強くないのではという勝手な偏見もありますが)

いずれにせよ、上場企業ということもあり、より信用できる1次ソースの決算発表資料を読んだ方が、より正確な判断ができると思います。

元ソースの決算説明資料は以下。

株式会社ドワンゴ平成21年9月期第1四半期決算 決算説明資料(PDF)



というわけで、ITmediaとCNETの記事に勝手につっこみいれてみた。

1)CNETの文頭のドワンゴ決算概要表

タイトルからして「ニコニコ動画」中心の記事であるのに、上記文頭の表がドワンゴ全体の四半期連結決算の表なのはどうなんでしょう。

決算資料に記述されているように、ドワンゴ全体の売り上げ69億6000万円に対して、ニコニコ動画含むポータル事業の割合は、わずか9.1%の6億3600万円。

ドワンゴの現在の主力事業は、全売上の61.6%を占めているモバイル事業です。
記事全般にわたって、ニコニコ動画含むポータル事業に言及しているのに、文頭でドワンゴ全体の表を使ってしまっては、読者をミスリードさせる恐れがあります。

決算資料4ページ目の↓こちらの表も一緒に使うべきところではないでしょうか。


2)ITmediaの赤字言及

ITmediaの記事は、ポータル事業の4億7500万円の営業赤字をメインに構成されています。

確かに短期的には、営業赤字というのは指標として重要ですが、長期的にニコニコ動画の事業性を判断するのに、重要な指標としては売り上げ原価がより注目な気がします。

ドワンゴとしてもポータル事業(ニコニコ動画)を将来の主力事業にと考えているはずで、だからこそ営業赤字については、それほどシビアに考えていないように見受けられます。

ただし、営業利益が低いようだと、採算性の悪い事業にしかなりません。

ドワンゴの平成21年9月期事業別の損益見込みです。

その他事業を除く、他事業は原価率が高くてもモバイル事業の51.8%なので、ポータル事業(ニコニコ動画)の93.8%という原価率予測はかなり改善されるとはいえ、2009年9月段階でも突出して高いです。

その内訳の詳細が出されていませんが、大部分が回線など設備投資かと思われます。

回線増強などの初期費用に関しては、減価償却資産扱いとだと思いますが、先行投資という側面が強いと思われ、原価率に関しては今後ゆるやかに改善されていくでしょう。

ただし現状の比率でいうと、「大胆なコスト削減」とかなり売りあげ分が底上げされない限り、ポータル事業の採算性は薄いように思います。

また、以下収支比率ですが、広告収入が伸びてきてはいるものの、相変わらず一番の売り上げは有料サービス収入(プレミアム会員収入)です。

現在公表されているニコニコ動画の会員数は1,109万人。有料会員数は26万5千人と全会員の約2.3%。プレミアム会員収入を増加させるには、ざっくりですが

  • 総会員数を増やす
  • 有料会員比率を上げる

のどっちかです。ただし、2009年9月期計画では会員数1420万人、プレミアム会員数36万人とのことなので、有料会員比率は約2.5%。「有料会員比率を増やす」という目標はあまりなさそうです(笑)

そのかわりに、計画数字として2008年10月から始まったポイント収入を11億9100万円と計画。有料サービス・広告収入の次の柱として期待しているようです。

また、有料サービス収入・広告収入にそれほど大きな計画数字を積んでいないところも考えて、ニコニコ動画の黒字化の成否はポイント収入の伸びにかかってきそうです。

ただし、ポイント収入が計画通りのびたとしても、ポータル事業(ニコニコ動画)の2009年9月末の計画数字は48億円。その時点でも、8億円の赤字見込み。これはドワンゴの2009年9月末の全体連結営業利益計画の4億2000万円をそのまま飲み込んでしまう額です。乱暴にいうと、ドワンゴはニコニコ動画がなければ、あと3倍の営業利益が出せる計算です。

当分、ポータル事業(ニコニコ動画)は、ドワンゴ内の不採算事業というポジションからは抜けれそうにないようです。

頑張ってほしいとこですが。

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チミンモラスイ? - ドワンゴとニワンゴ (2009年2月10日 19:13)

ドワンゴの決算発表のなかで、ニコニコ動画に関する事業報告も行われたようです。 「ニコニコ動画、有料会員と広告売上が急増--2009年9月期第1四半期... 続きを読む

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